橋爪大三郎『言語/性/権力』購入

言語/性/権力―橋爪大三郎社会学論集
社会学者・橋爪大三郎氏のこれまでの論説をまとめた『言語/性/権力』という本が刊行されていたので購入した。橋爪氏といえば今年1月東工大公開講座を受けてきたし(このときはアメリカ論)、以前からすべてカバーしているわけではないけど著作も読んできたので、役立つかと思い購入した。

まださわりの部分しか読んでいないのだけど、興味深かったのが「社会学の『帝王科学』説」。これは社会学に興味を持った人であれば一度はそう思ってしまう魅惑的な説だ。つまり社会科学と言われるものは政治学法律学・経済学・・・etcとあるのだけど、それらはあくまで領域を限定して述べているものであり、社会「全体」を説明できるものではない。社会学とは、領域限定の社会科学の領域としないスキマ分野を扱うというイメージがあるが、そうではなくて社会現象「すべて」を記述できる学問として考えられるのではないか、という説。近代社会の「全体」を説明できるのは社会学である、と。実際、社会学者たちは社会全体を説明できる一般理論を目指していたらしい。宮台真司氏はこれを「グランド・セオリー(=一般理論、誇大理論)」と呼んでいた。現在においては環境の変化もあり社会の全てを記述できるグランド・セオリーなんてありえない、というのが社会学の一般的な見解で、けっこう多くの社会学が変に狭い領域にタコツボ化してしまっている、と言われている。

そのような趨勢の中で、なんとか一般理論を目指そうと頑張っているのが小室直樹氏のお弟子さんである橋爪氏であり、宮台氏(たぶん)だろう。橋爪氏が「一般理論」としてたどりついたキーワードがタイトルになっている「言語/性/権力」。「社会学の『帝王科学』説」はまあ言い過ぎとしても、橋爪氏の一般理論の射程は果てしなく広いと思う。ぜひ読んでみようと思う。

amazon.co.jp言語/性/権力―橋爪大三郎社会学論集 橋爪 大三郎
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連載第二回:「一般理論」とは何か
社会学からの全体性の脱落に抗して、いま何が必要なのか
東工大公開講座 20040124:「社会学者のアメリカ論」講義録