映画『東京ゴッドファーザーズ』鑑賞

2003年11月あたりに劇場公開され、そのときは気づかずに終了してしまっていた今敏(こん・さとし)監督作品『東京ゴッドファーザーズ』がお台場メディアージュで再映がされていることを知り、わざわざお台場まで遠出して見に行ってきました。


今敏監督は『パーフェクト・プルー』、『千年女優』の監督を手がけた世界的に注目されているアニメ監督。『東京〜』は監督第3作目となります。脚本には今敏氏とともに信本敬子氏が担当。個人的には一昨年の『千年女優』でノックアウトされてしまったので今回の作品もチェックしておかなければという気持ちから今回ビデオ化されるのを待つのではなくあえて劇場へ足を運んだのですが・・・。今敏監督の作品で描かれるのは「狂気」と「疾走」。個人的には「狂気」が主人公から描かれるのか、主人公以外の人物から描かれるのかによって今氏の作品の評価は異なってくるように感じます。監督第1作目『パーフェクト・ブルー』では主人公以外の人物の狂気。第2作目『千年女優』では主人公の現実と虚構の定かならぬ狂気と疾走が描かれました。他者の「狂気」は観客に切断処理されて、よくできた物語の設定にしかならない。個人的に評価するのは第2作目の『千年女優』で、主人公に付与されている善なる(観客には善と思われる)属性は突き詰めて究極まで行くと狂気と紙一重。その狂気に心地よく感染させられました。今回の『東京ゴッドファーザーズ』で描かれたのは残念ながら他者の「狂気」でした。第1作目と同様「最も○○だと思っていたものが実は最も●●だった」という構成のよくできた映画なのかもしれないですが、残念ながらそれだけであまり衝撃を受けませんでした。映画のメッセージもいかにもわかった風な俗情に媚びたメッセージが多くちょっと期待はずれでした。順番からすると次回は期待できるかも(笑)。