U-22日本代表の行く末

U-22日本代表の試合がテレビ中継された。相手は韓国。7月の日本での試合の際、結果は引き分けでも内容は押されまくった相手だった。今回は内容も結果も完敗。韓国が強いこともあるがそれ以上に日本代表に見るべき選手がいない。特に技術がないわけではない。技術の高い選手、特徴のある選手はそれなりにいるが以前と比べるとどこか小粒。一応Jリーグをチェックしていれば選手の特徴は見分けがつくのだが、日本代表(フル代表)の試合しか見ないという人であれば、今回のU-22日本代表は大久保(C大阪)しか知らないのではないだろうか?
振り返ると、日本はオリンピック信仰があるせいで、欧州各国よりもオリンピックでの価値が高い。そしてさらにその昔メキシコオリンピックで銅メダルを取ったという「思い出」があるため(当時はアマチュア選手のみ参加)、Jリーグ発足後もワールドカップと並んで注目されてきた。
96年のアトランタ・オリンピックの際はそれまで28年出場してなかったこともあり、またフル代表の主力の選手(前園等)がいたため(それだけ当時の日本はまだ弱かった)強化試合、予選、本戦すべて大いに盛り上がった。
00年のシドニーオリンピックの際は、Jリーグで輝かしい活躍を見せていた小野、中村、稲本、高原といった「アイドル」がいたため、そして98年Wカップ以降日本のエースとなっていた中田英寿の参加もあったため、こちらも強化試合、予選、本戦と大盛況だったのは記憶に新しい。
そして02年Wカップを経て、04年アテネオリンピックの代表であるが・・・。現在のフル代表に名前を連ねているのは大久保のみ。フル代表には79年生まれ(シドニー世代)以降の選手はなかなか入れない現状となっている。そのため注目度もそう高くないし、フル代表の選手よりも二周りくらい見劣りするため見るべきものが少ない(それは日本代表が強くなった証拠でもある)。現在のU-22代表達は通称として「谷間の世代」などと言われていたが、将来的には「谷」ではなく(谷なら底についた後上昇する)ずっと低い状態が続くのではないか?とも思っている。おそらく今のように民放のゴールデンタイムにU-22代表の試合を生放送するということはなくなってくるのではないだろうか(そこまでオリンピック代表を重視している国はおそらく他にはない)?そして79年組(小野・稲本・高原)が31歳になる2010年までに、上の世代を脅かす世代が現れないと日本は厳しい。これは06年ドイツ大会の後、問題となってくるであろう。
これまでの90年代はまさに高度成長の時代。これからの2000年代は成熟の時代。これまでの「強くなっていく日本」を見てきたファンはそれを忘れられずに要求は厳しくなっていく一方だろう。しかし2010年代は停滞の時代かもしれない。ここ一連のU-22日本代表の試合を観戦していてそのようなことを感じた。