双風舎『バックラッシュ!―なぜジェンダーフリーは叩かれたのか?』購入

バックラッシュ!―なぜジェンダーフリーは叩かれたのか?ようやく時間がとれたので、八重洲ブックセンターにて双風舎待望の新刊『バックラッシュ!―なぜジェンダーフリーは叩かれたのか?』を購入しました。
ある立場に対して肯定的な/否定的な意見を増幅させることのできるメディア/ネットワーク環境の中、「まとも」「普通」「中立的」なるものを問い返す「差異の政治学」のあるところに必ず「バックラッシュ」現象ありとするならば、本書は「ジェンダーフリー」という特定のテーマを入り口にして、多くのテーマ・領域で起こりうる現象まで射程を拡げることのできる学びの多い書となっている気がします。
たとえば、ある立場からAという状態が理想的な状態であると仮定し、その状態Aが社会において実現されているとき、

  • 他の可能性が封殺されて想起されることもなく実現されているのか、
  • 他の可能性を常に自由に選択できる状態にあるのにそれでも状態Aが実現されているのか*1

という違いを見出すことができるでしょう。もちろん僕等が望む社会は後者であることは言うまでもないと思います。
そしてある立場に対して肯定的な/否定的な意見を述べる論者が

  • 自らの所属の既得権益を守るために発言しているのか/より公共的な見地から語っているのか、
  • 個人の実存的な問題を公共的な問題であると僭称しすり替えて語っているのか/より公共的な見地から語っているのか、

という背景も見えてくるのではないでしょうか。サブタイトルにあるように「なぜジェンダーフリーは叩かれたのか?」ということから我々の社会の今・そしてもしかすると自分の今が見えてくるかもしれません。
「差異の政治学」を語る可能性のあるすべての方へ!

*1:この場合でもまったく問題がないわけではありませんが