仲正昌樹氏「北田暁大に告ぐ『諸君!』に出て何が悪い」を読む

様々な情報を掲載してくれている松浦大悟さんのBlog・不機嫌な日常で、本日発売の「諸君!」2006年2月号に、先日のトークセッションおよびその中止の顛末に関する仲正氏の「北田暁大に告ぐ『諸君!』に出て何が悪い」が掲載されているとの情報があったので、近くの図書館に読みに行ってきました。

内容は、仲正氏が雑誌「諸君!」で八木秀次氏・小谷野敦氏と鼎談を行ったことで、その中身にかかわらず仲正氏のこれまでの経歴や左翼批判の言説を絡めて仲正氏の立場を「右」と決め付けたがる動きが出てしまったこと、およびトークセッションで北田暁大氏(や企画の双風舎・谷川茂氏)が過大にテーマとしてとりあげてしまったため誤解が生じる「養分」となってしまったのではないか、といった内容でした。
僕は「諸君!」の仲正氏・八木氏・小谷野氏の鼎談を党派的バイアスをかけずに読めば仲正氏が「右」であるなどと断定的に言えるわけがないのと同様に、仲正氏・北田氏の一連のトークセッションをこれまた党派的バイアスをかけずに聞けば、主催の谷川氏と北田氏だけでトークの事前打ち合わせがあり中止も一方的に決まってしまったなど*1誤解のタネは尽きなかったと思われますが、基本的にはそんなに問題のある一方的なトークのようには思えなかったです。その「場外」で仲正氏が迷惑を大いに被る可能性・被った事に関しては配慮が必要だったかもしれませんが。

仲正氏は例の鼎談に関して、八木氏や小谷野氏が極端に右派的・反フェミニズム的なおかしなことを発言したらなにか言おうと思っていたがそんなに極端な発言は出てこなかったので、特に何も言わなかったとの趣旨のことを仰られていましたが、これを以って右派論壇と結託したと誤解されてしまう可能性があったので自身でもっと考慮すべきだったと解釈するか、相手の立場を一方的に決め付けずそのときの相手の発言内容で判断しようとするフレキシブルな態度と解釈するかという評価の差は微妙な差なのかもしれません。
仲正氏の仰る通り、鼎談したくらいで「士道不覚悟」「脇が甘い」的に詰問されても困ると思いますし、そのような党派争いなぞうんざりでしょう。また(北田氏の仰っていたことを僕なりに解釈してみると)世の右的俗情への流れ易きを見れば形式的であれ歯止めとなる言論が必要な気もしますし、その言動を行う方には「俗情」の「わかりやすさ」に対するため一貫した態度を保っていただきたいという要請があるのも理解できますし。手法の違いとはいえ、これは判断が難しいなぁと思う次第です。


【追記:2005/12/28】
上記の文章には、私が確認できない事実をもとに書いてしまった誤りがあります(上記本文の訂正部分)。詳細は下記のリンク先をご覧ください。

*1:否定線の部分は事実誤認です。12/28の追記とあわせてお読みください。