内田樹『ためらいの倫理学(文庫版)』読書中

ためらいの倫理学―戦争・性・物語もうすでにウチダ先生ファンと言っていいくらいウチダ先生の書は購入して読んでいたのですが、実はもっとも代表作である『ためらいの倫理学』を読んでいなかったのです。先日のLIBROのトーク会場で文庫版が売られていたので*1購入して、現在読んでおります。初期の頃の著作のためか、最近の著作よりも文体が固いですが、最近がユルユルのような気もするので、むしろちょうどよいくらいです。
北田暁大氏が高橋哲哉氏の論理が危ういと仰っていたのもこの本で復習できますし、まだ到達していませんが、フェミニズムに対してウチダ先生が懐疑的な点についても北田氏はよく本書を例に出して言及されていたので、そこのところも楽しみです(他の著作でも懐疑的な面は読めるのですが、おそらく本書がもっともよく表現されているのでしょう)。
僕はウチダ先生の論説を読んでけっこうフムフムと納得させられている方で、ウチダ先生が大衆に迎合しているとも思えないし、思考を放棄して道徳的説教を垂れている訳ではないと思うので、それを「オジサンの戯言」と言い切ってしまえる方は僕の想像力など及ぶべくもないほど相当に頭の切れる批判意識に溢れたシャープな方なのだろうなぁと羨ましく思う限りです。僕の個人的な印象ではウチダ先生は周到かつ経験や知恵に裏打ちされた論駁しにくい議論をされているように思います。これは十分学ぶに値する「オジサン的したたかさ」ではないでしょうか。

*1:でもこれも別に最近出版されたわけではないのですが・・・