心脳問題、面白い

心脳問題―「脳の世紀」を生き抜く
先日本屋に行った折に購入した『心脳問題―「脳の世紀」を生き抜く』(山本 貴光, 吉川 浩満 著)をここ数日ずっと読んでいるが、わかりやすくかつ読みやすくて面白い。(意識的ではないけれど)その前に宮台真司サイファ覚醒せよ』を読んでいたのがさらによかった。『サイファ〜』では後半部分で「心」があるとはどういうことかが論じられている。アイボに心はあるか、ゾウリムシには心があるか、「ある/なし」を答えるときにどのような理路があるのか、といったことが述べられていたが*1、同じようなことが「脳の世紀」を生き抜くための基礎知力を養うことが目的、と銘打っている本書で述べられている。「心」は「脳」の働きを解明すれば明らかになるのか、「心」とは「脳」とは別の非物質的な機能なのか、「心」と「脳」はどのような関係性をもっているのか、このような問いをしていくと、これまで長い間で蓄積されてきた神学論や心身論と同じ構造を持ってくることがわかる。さまざまな領域に発展する問題を見事にまとめた良書だと思う。

*1:ちなみに『サイファ〜』ではアイボには心がなく、ゾウリムシには心があるとしている