演劇『上野動物園再々々襲撃』鑑賞

 劇団・青年団の演劇『上野動物園再々々襲撃』の富士見公演を埼玉・富士見市民文化会館キラリ☆ふじみで鑑賞してきました。原作:故・金杉忠男氏、脚本・構成・演出:平田オリザ氏。
上野動物園再々々襲撃』は2001年に上演され、第9回読売演劇大賞優秀作品賞を受賞した作品で、今回は全国5ヶ所での再演。富士見公演はその最終公演でした。
平田オリザ氏の著作のいくつかや、NHK教育の演劇番組で演劇が放送されるときなどは見てはいましたが、今回初めてライブで見ました。直接観に行く行動へと背を押してくれたのはBlog「不機嫌な日常」の松浦さんの感想でした。

簡単なあらすじは以下の通り。

 同窓生の葬式の帰り道、とある下町の喫茶店に、小学校の同窓生が集まり上野動物園から駱駝を盗み出して、かつてのクラスのマドンナをそれに乗せようと画策する。
かつての悪ガキたちの追憶と、すでに中年となってしまった彼らの現実生活とがオーバーラップするなか計画は着々と進められていく。人生の深い悲しみと、小さな希望がコミカルに描かれる。

鑑賞する立場からすると、形式的には団塊世代(?)が昔を振り返るというものですが、その振り返り方・態度が最終的にはノスタルジーとは全く異なるものとなります。簡単に比較できるものではないかもしれませんが、勝手に断言してしまいましょう。映画『ALWAYS 三丁目の夕日』より100倍いいです。
演劇鑑賞後、パンフレットの「『上野動物園再々々襲撃』再演全国ツアーによせて」という平田オリザ氏の文書の以下の部分を読んで(またまた超勝手ですがw)この演劇は自分のためのものである、と確信しました。

 この作品の元になっている『上野動物園再襲撃』は、中年男たちが少年時代の夢を追って上野動物園に再び忍び込む話である。これをリメイクするにあたって、「なぜ『再々々襲撃』なのですか?」とよく聞かれた。言わずもがなのことだが、答えは簡単だ。私たちは、上野動物園を襲撃し続けなければならないのだ。幾度でも、幾度でも、生きている限りは。それが金杉さんが、演劇を通じて描きたかった、ほとんど唯一のことだと私は考えている。過去や歴史にすがるのではなく、過去を更新しながら、どうにかして、このつらく寂しい現実を、私たちは生き抜いていかなければならない。

最高でした。会場の富士見市民文化会館キラリ☆ふじみまでは片道1時間半かかりましたが、観に行ってよかったです。またいつか再演があるようであればぜひ鑑賞をおススメいたします。