9.11直前大緊急討論集会「この国の選挙の行方」〜君は小泉の勝ち誇った顔をみたいか?!〜参加
高田馬場トリックスター*1にて緊急開催されたイベントに(仕事を無理やり途中で切り上げて)参加してまいりました。
パネラーは宮崎学氏、宮台真司氏、平野貞夫氏(元参議院議員)、高野孟氏(インサイダー編集長)と予告にはなかったけどゲストとして保坂展人氏(2005年衆議院選挙比例代表候補者)と、佐藤優氏(外務省官僚・元主任分析官、現在起訴休職中)*2。
テーマは「なぜ今回の選挙で民主党はダメだったか」。
(まだ選挙終わっていませんが、ちょっと早い反省会ですw)
※要注:以下のものは私が見聞きしてきたことを書き留めたノートであり、発言者の真意を正確に反映しているとは限りません。
- 宮台氏の現状分析
- 民主党がとるべき道とは*3
- 不安になった都市無党派層に対して、都市型保守と都市型リベラルでその票を取り合うという二大政党の政治になっていく。
- 民主党は支持の綱引きとして都市型リベラルを提案し、共同体的紐帯から解き放たれている都市弱者を支持基盤とすべき。
- 都市型保守と都市型リベラルで綱引きをした場合、都市型保守が勝ちやすい。
- 社会が流動化していく状況の中で、不安と「男気」のカップリングは最も低コストな動員戦略となる。しばらくは都市型保守にとって追い風。不安になった人たちは断固・決然にひかれる。
- それに対して、不安で右往左往するのはカッコ悪い、自らの内側から沸きあがってくる意欲に従う者こそが最高である(という右翼の本義)、というようなロールモデルを説得するのは難しい。
- どういう社会を作るのか、どういうロールモデルをリスペクトすべき対象として提示するのか、というコミュニケーションを通じた提案・イメージ戦略が必要になってきている。
- 平野貞夫氏*4の分析
- 旧経世会・郵政改革反対派も民主党も、小泉首相の言っていることを甘く見すぎていた。小泉氏は本気で郵政改革を言っている。
- 小泉郵政改革は、アメリカ市場主義文化と日本の共同体文化の戦争。アメリカは日本が不良債権を処理する際に膨大な儲けをあげ、日本に膨大な市場が広がっていることを認識した。そこに入っていくためにはバリア(共同体意識)がある。その象徴が郵便局と農協。民営化は政策よりも心理的側面が強い。
- 小泉氏は森派。元は岸信介のアメリカ追随の派閥。小泉氏は日本をアメリカ化することについて賛成か?反対か?と「正直に」「堂々と」主張・問いかけをしている。
- 民主党は、自民党の政策を前提にそれに対抗する政策を行っていけばいいという価値観から抜け出さなければならない。自民党を壊してどう新しい文化を創っていくかということが重要。
- 高野孟氏の分析
- 小泉氏は自民党文化の破壊を擬似的にやっているのに喝采があがっていて、正面から破壊すべき民主党にそれだけの力がないことを国民は気づいている。閉塞感を打破したい気持ちとあいまって、小泉支持が広がっている。
- 郵政否決解散について、自民党の反対派も民主党も冗談だと思っていた。道路公団民営化も中途半端だったし、郵政もまた口だけではないかと。
- 小泉氏は最初から本気だった節がある。旧田中派(道路族・郵政族)に対する怨念もある。否決されたら解散ということも、すでに7月に衆議院で数票差で可決されたときから「刺客」候補者の調査・働きかけを始めていることからも、覚悟・決断していたことが伺える。
- 解散後、岡田代表が第一声で「郵政も重要だが、他にも重要な問題(年金等)がある」と主張した。これは「政治評論」としては正しいが「政治」ではない。郵政問題で逃げたという印象を与えたら「政治」ではおしまい。
- 小泉氏は「殺されてもやる」と言っている。「政治」は体を張った勝負。気合。「ここで一歩でも退いたら総崩れ」という感覚が民主党・岡田代表にない。正しいことを主張すれば小泉氏に勝てると考えているが、共産党は100年正しい主張をしていても革命は起こってない(笑)。
- 民主党を建て直すには
- 昨年の参議院議員選挙で民主党が勝利したのは都市無党派層が支持したから。彼等が意識している政治理念や政策を中心に据えるべき。今回の選挙で敗北したのであれば、もう一度、どのような基本精神で政治を行っていくかを議論すべき。
- 重工業社会から情報社会へ文明の価値観が変化した。それは「所有欲」から他人のため社会のためになっているという「存在欲」の価値観へシフトしたということ。
- 「都市型弱者」という概念も、産業社会時代の「弱者」観念と繋がっていないのでは。成熟社会になって若い世代は親たちと同じような生き方をしたいと思っていない。今までの価値観で生きたくないと思っている人がたくさんいる。そこを今の政党はとらえきれていない。経団連や連合は「若者を叩き直せ」と噴き上がっているが、次の100年の新しい価値観をだれも提示できていない。
- まったり幸せに生きている都市的弱者は、本人たちに弱者というイメージはない。自分の居場所を見つけて肯定的に生きている人も多い。それを簡単に否定するのではなく、そのあり方を肯定するような政治をします、という方向にもっていくべき。我慢が出来ない、根性がないなどフリーターやニートに対するイメージが貧しすぎる。今の社会システムに納得がいかない、そんなものに関わっても意味が感じられない、というポジティブな意味のフリーターやニートも存在する。ここに都市型リベラルの政治勢力が主張していくべきポイントはないか。
※再要注:以上のものは私が見聞きしてきたことを書き留めたノートであり、発言者の真意を正確に反映しているとは限りません。