『9をまく』刊行記念 辻信一トークショー「スロー・レボリューション9 エコで平和なスローライフ」参加

9をまく SOWING NINE青山ブックセンターで開催された『9をまく』刊行記念・辻信一トークショー「スロー・レボリューション9 エコで平和なスローライフ」に参加してまいりました。内容は憲法9条の思想や環境問題についてで、それらは繋がっているというお話。
一番印象的だったのは、新聞などの世論調査憲法9条に対して好印象が得られるのは経済が好況のときだということ。不況であれば抑鬱的になり不安から吹き上がって「戦争も辞さず!」となってしまうのでしょうか。そういえば環境問題も不況時には「ぜいたく」として捉えられてしまうと聞いております。
双風社から出版された宮台真司×仲正昌樹『日常・共同体・アイロニー 自己決定の本質と限界』や、ちくま新書で刊行されている仲正昌樹『不自由論』で学んだように、人々が公共的であったり、リベラリストであったり、環境問題を考えたり、憲法第9条の思想を理解・共感しうるのは、古代ギリシャであれば奴隷制があった(ので日々の些事に気にせずいろいろなことを考えられた)からであり、現在であれば南北問題の構造があるから(ある程度いろいろな問題を考える余裕ができるから)であり、現在日本において経済が好況であるから、であるとすれば、辻さんの語られる思想はネオリベ・経済最優先の社会に対するカウンター、オルタナティブな思想足りえるのか、それとも補完物に堕してしまうのかということが非常に気になるところでありました。
なのでトークイベントで僕としては初の質問タイムに発言をしてしまいました。辻さんは、憲法にしても環境問題にしても経済の下支えがあったからこれまでもってきたかもしれないとしても、現在の古い物語に固執していれば思っているよりも早く破綻がくるのではないか、であるならば我々は新たな物語を紡ぎだすしかないのではないか、と仰っていました。しかしそれも楽観的ではなく、南米の先住民に伝わるハチドリ民話*1の心境だとのことです。
その思想には共感するとことがあったので、辻さんの元ゼミ生の方が経営されているスローウォーターカフェで発売されているハチドリマークの水筒を購入することとしました。

*1:森が燃えて、多くの動物が逃げ出す中、ハチドリ(クリキンディ)が水辺からくちばしに一滴の水を運んで森を焼く炎に垂らしている。他の動物から「そんな無駄なことをしてどうするんだ」と言われて曰く「私は私にできることをするだけ」と。