速水由紀子×上野千鶴子トークライブ「負け犬からワン婚へ−新しい男女の共生を探る−」参加

ワン婚―犬を飼うように、男と暮らしたいジュンク堂で行われたワン婚トーク第2弾、上野千鶴子×速水由紀子トークに参加してきました。トークは予想に反して(?)上野氏が速水氏にインタビューする形で展開。といいつつ上野節は全快で、ワン婚で速水氏のインタビューを受けている男性5名*1フェミニズムの視点からぶった斬りまくり(笑)。女性を母親代わり、介護目的、所有物として見るとは何事か、それを潜在意識ではなくインタビューで述べているとは何事かと突っ込みまくり。「男性の奥さんを見るとその人のアキレス腱を見るようで怖くもある」と語っておられました。
また女性側に対してロマンチック・ラブ・イデオロギーもぶった斬り。人生80年時代に、10代後半から20代前半でパートナーを見つけて残りの50〜60年続くの?と疑問を呈しておられました。なので上野氏の回答は明快。男性一人に扶養者、セックスの相手、楽しい話し相手、知的会話の相手、癒しを受ける相手などすべてを求めるのは幻想にすぎないとし、機能(?)ごとに相手と付き合えばよい、と。上野氏は、異性との付き合いや仕事で自分が変化していくことに興味を抱いているとのことで、「居場所」とは、「相手に依存する場所」ではなく、「一人でいても寂しくない場所」であるという三村ヒトシ氏の著作*2の言葉を引用して紹介されてました。
男性が女性を(無意識的であれ)抑圧したりパターナリズム的に庇護したりすることを拒否し、女性が男性に(無意識的であれ)依存することを拒否したりと、上野氏は男女間の幻想を極力排し、対等に自由に付き合うことを主張されていたように思います。それは真っ当な主張であると思います。が、しかし、いろいろなカップルの関係を調べれば、どこかに甘えや依存心が透けて見えることもあると思われます。では人間は果たして原理原則に則って厳格に生きていくことが可能なのでしょうか。可能な人もいるでしょう。でも多くの人にとってそれは抑圧・無知蒙昧の世界で生きること以上に辛いことなのかもしれません。「真の自由」を実は本当に切実に求めてはいないのかもしれません。まあこういうことを言うと「なんと反動的なヤツ!」と言われそうではありますが。上野先生の超然ぶりが印象的だったトークでした。

*1:宮台真司みうらじゅん苫米地英人、河合我聞、加藤鷹

*2:何という本かは不明