アテネオリンピック サッカー(女子)準々決勝 日本 対 アメリカ

僕のこれまでの女子サッカーの国際大会のイメージはまず個人の身体能力ありきのサッカーだった。アメリカ、北欧諸国、中国など大柄な選手がゴールに押し込むイメージが強かった。そういう意味ではアメリカ女子代表はかつてほど最強ではなくとも強かった。今日の日本の失点シーンはひとつは体格的な差で押し込まれたもの。もうひとつはオフサイド・トラップをとってもらえず不運だったもの。しかし日本代表はこれまで強国との対戦で身体能力の差を見せ付けられての敗戦が多かった内容からすると、かなりの部分でアメリカと互角に戦ええうことが感じられる内容だったように思う。

日本女子のサッカーは男子と同様、ディフェンス・ラインからFWまでの距離をコンパクトに保ち、相手がボールを持つと必ず2〜3人がチェックに入り数的優位を作って挟み込んでボールを奪い、即パス交換を行って速攻あるいはボール・ポゼッションを高めての展開という、組織的で理論的なサッカーだ。かなりの走力・体力を要求されるが、他国と比較した場合の日本人の体格を考えても合理的な戦術だと思う。その戦術が実を結んだのが、オリンピック出場を決めた北朝鮮戦であり、今回のオリンピックの初戦であるスウェーデン戦だった。

弱小国は強国に対してとにかく引いて守る戦術をとる。しかしその戦術では、良くて引き分けの結果が得られるかもしれないし僥倖があれば勝てるかもしれないがその可能性はかなり低い。そしてその先の進歩がない。日本代表はそのような状況からはある程度脱したと言っていい。問題は男子代表同様これから先だろう。現段階でも強国に伍せても打ち倒すには至らない。サッカーにおける成熟とは何か。これは日本サッカー界の課題だろう。

今回のオリンピックの出場に至る過程および本戦での代表の活躍により、また「なでしこジャパン」なる愛称といった協会の戦略により、ようやく女子サッカーも一般に認知されるに至ったように思われる。今後多くの少女達がサッカーを始めるかもしれない。将来の日本代表を夢見るかもしれない。とすればここで最後に締めくくるには97年ジョホールバルにて発せられた名言にならいこう言うべきだろう。「Lリーグもよろしくおねがいします」と。

日本 1-2 アメリ
http://www.sponichi.co.jp/soccer/japan/woman/2004/athens/0820/index.html