W杯アジア一次予選 日本vsインド

ヨーロッパでやってきた4試合の内容、準備期間、相手の実力を考えれば当然の結果だった。一次予選がグループ1位しか突破できないので得失点差を稼ぐためにとにかく多くの得点が必要だった。

まだ予選の本当の修羅場ではない。見つめる方向が先にあるとすれば、怪我で出場できずスタンド観戦していた中田英寿選手のことを考えないわけにはいかない。日曜・月曜とテレ朝で中田選手の4月30日のインタビューを見た。不甲斐なかったオマーン戦、シンガポール戦後のヨーロッパ遠征でいい結果が出ているのは、自分の存在が代表にとって「足枷」になっているからではないか、というもの。中田選手だけが97年の日本が初めてW杯出場権を獲得した予選の戦いを知っていて、それ以後のほとんどの国際大会で活躍している。中田選手の存在感が突出しているゆえに遠慮されてチームがうまくいかない、ということがあるのだろうか。

中田選手は知名度と比べると評価の難しい選手だ。イタリアで言う「量の中に質を見出す選手」つまり瞬間的な仕事よりも90分全体のパフォーマンスがいい選手だし、意外性のある技巧的なパスよりも、確実で合理的なパスを得意とする選手だ。だから多くの期待に反して中田選手がチームに加わったからといって劇的な変化を起こすというよりは、チームの土台と言ったほうがいいタイプの選手だ。これは中田選手が活躍するイタリアの多くの監督が述べている。中田選手に一番いいポジションは、本人希望のトップ下ではなく、3バック、4バックを問わず3ボランチで真ん中に守備専門の選手をおいた場合の左右どちらかの位置が最も輝くだろうと評価されている。サイドアタッカーでもなく中盤の守備専門でもないこのポジションをイタリアでは「メッザーラ“mezzala”」と言うらしい。中盤で少ないタッチでボールを確実にさばいたり、しっかりとボールをキープする役割が求められるようだ。中田選手の特性はこのポジションが一番合っているという。

ジーコがこのポジションを採用するかどうかは別として、中田選手は特別なカリスマと言うよりはチームの土台の(つまりチームのために動き、他の選手を活躍させる)選手だと僕は思う。そして代表でずっと見続けていたい選手でもある。今あるギャップを埋めるには、小野、中村、稲本・・・etcの年下の選手がカリスマと呼ばれるまでの成長が必要なのかもしれない。中田選手の「足枷」発言は日本代表を発展させるためのものであると思いたい。今日の試合はその第一歩とすらまだまだ言えないだろう。日本対インドの試合を語るつもりが不在の選手の話になってしまったけど、日本代表これからである。

日本 7-0 インド
http://www.sponichi.co.jp/soccer/japan/full/result/2004/0609/index.html


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June 07, 2004 中田英寿という呪縛。:http://kiku.livedoor.biz/archives/836999.html

遅ればせながらビデオで2日のイングランドvs日本戦を観たのですが、ここ数戦、特にチェコ戦あたりからか、なんかなあ、A代表解き放たれているなあ、のびのびしているなあって感じてしまうのは気のせいだろうか。ジーコの呪縛から?いや、中田英寿のそれから、か。