「アメリカン・ディストピア」刊行記念講演会

今日は池袋LIBROのリブロ・コミ二ティ・カレッジ特別セミナーの神保・宮台○激トーク・オン・デマンドII特別対談に行った。まる激の書籍版「アメリカン・ディストピア」の出版記念対談とのこと。
ちょっと時間の目測を誤って5分遅れで会場到着。するとちょうど神保・宮台両氏が入り口にいて間近で見ることができた。神保さんは入り口にいるときは背広の上着を羽織っていたが、対談時はやはりいつものフィッシュマン・ジャケットだった。生で見れて嬉しかった(ミーハーに近いな・・・(笑))。

対談内容は普段のまる激で話しているようなこと。簡単に言うと、日本のマスコミは3つのことをちゃんと報じないため国民がさまざまな判断を行うための情報を伝えていないということ。その3つとは

マスコミはマスコミ批判をしない

そもそも日本の地上波テレビ局はNHK民法5局で電波を独占しているため新規参入ができない仕組みになっている。欧米では考えられないクロス・オーナーシップ制(=新聞社がテレビ局・ラジオ局を持っている制度)が日本では当然のこととして存在しているので、新聞社がテレビ局の報道を批判したり、テレビ局が新聞社の報道を批判と、マスコミ同士が相互批判する道が閉ざされている。

マスコミは政権・官僚批判をしない

以外に聞こえるかもしれないが、マスコミは政権・官僚批判をすることができない。なぜなら大手マスコミは記者クラブで政権・官僚から情報を得ているからだ。政権・官僚の記者会見には記者クラブに属しているメディアしか入ることが許されていない。記者クラブは大手メディアしか属することができず新規参入を許さない。また政権・官僚が公開されたくない情報は記者はオフレコで知っていても報道されることはない。例外として警察が動く問題(=犯罪化した場合)のみいっせいにみんなでバッシングする。記者クラブに属しているとネタ落ちすることがない(=他社に出し抜かれる可能性がない)代わりに、報道に競争原理が働かない。購入者側も駅売りでなく宅配制なので一度買い始めると選択肢が事実上ひとつしか存在しなくなる。なので報道で競う必要がなく、記者クラブでの政権・官僚の会見をそのまま伝えるだけである。記者クラブと宅配制度がコインの表裏となって国民が知るべき情報を伝えなくてもよい仕組みができている。

メディアはスポンサー批判をしない

環境問題、消費者の真に知りたい情報はスポンサーの業界構造を批判することになってしまうため、企画が通らない。?、?の問題と絡むが報道に競争原理が働いていないため、調査報道の同期付けが働かない。そのため新の問題となっている構造をしっかり調査しようとしない。
このような構造に気づいても、高給が約束され、大手マスコミの名に依存して仕事をするのに慣れてしまうため、フリーになって自由な報道競争をしようとしても、条件が悪すぎて、そのような選択はもはや行うことができない構造がある。そしてこのような業界構造の相似形が日本のいたるところの業界で実は形成されている。この構造をどうにかして新規参入ができるようにしなければ、実は真の競争力もつかないし、日本経済の再生もなければ、商品を購入する消費者がより満足できる商品が登場することもないのである。

などなど、これまでまる激で話されてきた基本的なことを確認するような内容だった。僕も毎週見ている「まる激トークオンディマンド」は、上記の日本のマスコミ構造をなんとかするため、大手メディア資本ではなく、スポンサーもなく、記者クラブにも入っていないので多様な情報を提供することができる、という改めて考えてもこれまでにない番組だと思う。