蓮實重彦とことん日本映画を語るVOL.17『日本の幽霊』参加

青山ブックセンターで開催された蓮實重彦氏による恒例イベント・蓮實重彦とことん日本映画を語るのVOL.17『日本の幽霊』に行ってきました。
今回のテーマは日本映画における幽霊の表現のされ方、不在のもの・見えないものをどう表象するか/してきたかということ。
最初に「その存在を直接描写することなく間接的な表現で観客にイメージを喚起させる手法」として『キャット・ピープル』(1942)が紹介され、そのリメイク(1982)における見えないはずのものをCGで直接見せてしまう表現がいかにダメかということが紹介されました。
また動くはずのない死体が動く現象としてのゾンビ(ボロボロの血塗られたものではない)のゆっくり歩く薄気味悪さの例として『私はゾンビと歩いた!』(1943)が紹介され、三隅研次監督『四谷怪談』の幽霊の移動が紹介されました。

日本の監督たちが幽霊をどのように表現してきたかということで、成瀬巳喜男監督のある人物には見えてしまう半透明の幽霊、木下恵介監督におけるまさに死体のように見える(でも作中人物は死体と気づいていない)幽霊、溝口健二監督の『雨月物語』における観客はみな幽霊とわかる描写ながら作中人物は気づいていない普通の人間に見える幽霊、黒澤明監督のあくまで幻想的な存在は幻想的に描写する幽霊などが紹介されました。

また日本では「キツネ憑き」の描写の伝統があるそうで、極めて様式的ながら狐のお面をかぶったキツネ(の幽霊?)が表現されている作品が紹介されました。

日本の幽霊描写で重要なものとして、画面の外や出てくるはずのないところから出てくる「手」が重要な表現手法として使用されているそうです。

最後に「幽霊のスペシャリスト」としての中川信夫監督の作品が紹介されました。中川信夫監督の『怪談 蛇女』は必見だそうです。みなに観てほしいということで紹介されました。また今回は四谷怪談等古典物が中心でしたが、「次回の予告として」現代の幽霊を描いたものとして『憲兵と幽霊』が紹介されました。

「現代の幽霊」は次回とのことで、これまた期待です。

追記:2007-04-02

今回のイベントの詳細なレポはこちらへ。