「パン屋再襲撃」が必要な人間

「象の消滅」 短篇選集 1980-1991 先日購入してGW中に読了した村上春樹短編集『象の消滅』の中で「パン屋再襲撃」という短編が非常に印象に残りました。見事に「呪い」とは何なのかということを表現している気がします。仮にここでは「プラスのものであれマイナスのものであれ『交換』が正しく行われなかったところに起こること(正しい『交換』をやりなおさなければ解けない)」としておきます。
1985年の作品ですので昔読んだという友人たちの感想を求めてみたのですが、みな読んだことは憶えているけど内容までは憶えていないとのことで再読を求め、先日とある友人とそれについて話をしました。僕はおそらく自分は「パン屋再襲撃」が必要な人間なのではないかと感じております。もちろん「パン屋再襲撃」はメタファーであり、それがどんな形で現実化するのかは今のところ僕にもわかりませんが。というある種の自意識過剰であり、予感であり、自己呪縛のような思いを多くの村上読者は抱くのだろうなとも考えると、僕は見事に村上春樹の術中にはまっている気がします。『アフターダーク』を読んだ際の「携帯電話の件」も然りです*1