ミヒャエル・ゾーヴァの世界展に行く

ゾーヴァの箱舟叔母から「必ず見てくるように」と言付かったので、松屋銀座店で開催されたミヒャエル・ゾーヴァの世界展に行ってきました。ゾーヴァ氏は1945年ベルリン生まれの画家で、絵本の挿絵を中心に独自の世界観を表現してきたとのことで、紹介サイトやパンフレットらしきものには「可愛らしさとユーモアと、どこかただならぬ気配とが同居する」と評されている。映画『アメリ』に登場する絵画やその他美術品もゾーヴァ氏の作品で、日本でも多くのファンを持つとのこと(僕は勉強不足なので知らなかったのですが・・・)。
で、松屋銀座の8F催し物場に行くと、休みということもありすごい人だかり。全130点を鑑賞するのに1時間半近くかかってしまいました。しかし見に行ったのは正解で、僕はゾーヴァ氏の絵画に見事に魅せられてしまったのでした。
色を暗く抑えた静泌で繊細な風景画の中に一点盛り込まれる動物たち。その姿は周りの風景(状況)に対して時に楽観的であり、時に無様であり滑稽である。ゾーヴァ氏の絵画がユーモア溢れると言われる所以。それを見て多くの人たちの、かわいいね、おもしろいね、の声。その通り。その楽観的で無様で滑稽な姿は僕等の姿そのものなのだから。
猫の皮はぎ屋と題された場所に列をなす猫、「この村から豚はでていけ」と豚を追い出す豚のような人々、他者を切望して窓の外を眺ているのに建物の構造からけっして目線が合うことはない孤独な個人たち。とても静泌で美しい世界の中に酷薄な事実があり、やるせない現実の外には広大かつ把握・触知できないほどの無限性を感じさせる世界がある。その構図・構造に笑って、ヘコんで、最後にそんな自分に嗤えるか?そんな問いかけがされているような作品群でした。
お金ないのに・・・と思いながら『ゾーヴァの箱舟』という唯一日本語に訳されている絵画集を購入して帰りました*1
リンク先がいつまでもつかわかりませんが、松屋銀座のサイト(http://www.matsuya.com/sowa/pics.html)で一部作品が閲覧できます。

*1:ゾーヴァ氏が挿絵を書いている絵本はたくさん日本語訳されたものが売られているようです。